ニチレイとオードリーANNの歩み

― オードリーANNで株価・業績の10年を読み解く ―

みなさんお馴染みの「ニチレイプレゼンツ オードリーのオールナイトニッポン♩」

ニチレイ(ニチレイフーズ)は「オードリーのオールナイトニッポン」の冠スポンサーを務めています。しかもその期間は10年以上。

一見、冷凍食品と深夜ラジオは縁遠く見えますが、実はこの提供には明確な狙いと戦略性があります。

この記事では、ニチレイとオードリーANNの歩みを調べていきます。

ちなみに、ニチレイは冷凍食品のパイオニア企業です。 家庭用だけでなく、業務用用途にも対応しており、チキン・米飯・冷凍野菜・春巻などで国内シェアの高さを示しています。  

引用元:事業概要説明資料(2025年)


1. ニチレイ×オードリーANN:10年以上の冠スポンサー

2014年10月、ニチレイは「オードリーのオールナイトニッポン」の冠スポンサーに就任。

それ以降、番組名には「ニチレイpresents」が付けられ、現在に至るまで10年以上にわたって提供を継続しています。

番組内では「チン!」というネタコーナーがあります。

冷凍食品を“チン”している間に、オードリーの気になっていることを投稿し、優秀者にはニチレイ冷凍食品セットを贈呈するなど、商品との接点が自然に織り込まれています。

数多のリスナーのお腹を満たしてきてくれました。

2. 株価と提供開始のタイミングは偶然か?

2014年に提供を開始した頃、ニチレイの株価はおよそ500円前後でした。

しかしその後、株価は右肩上がりとなり、2023年には2,100円超を記録。2025年時点でも1,800円台を維持しています。

もちろん、ラジオ提供だけが要因ではありません。

ただ、生活者との接点を増やし続けた結果としての「ブランド力向上」は、株価に反映されている可能性があります

2014年の提供開始以降、株価は安定して上昇基調を維持しています


3. ニチレイの事業と強さ

ニチレイの業績は、以下の通り安定した成長を維持しています。

  • 売上高:7,020億円(2025年3月期、前年比 +3.2%)
  • 営業利益:383億円(+3.8%)
  • 経常利益:398億円(+4.2%)
  • 親会社株主に帰属する純利益:247億円(+0.9%)
引用元:事業概要説明資料(2025年)

冷凍食品・低温物流が二本柱の構成で、いずれも堅調です。

自己資本比率は50%超と健全で、ブランド施策への投資余力も十分にあります。

引用元:事業概要説明資料(2025年)

加工食品・低温物流の両輪で着実に業績を伸ばしています。

4. 単なる広告でなく「接点」としての提供

深夜ラジオのリスナーは、継続聴取・ブランド定着率が高いという特徴があります。

ニチレイが選んだのは、「短期的な販売促進」ではなく、「長期的なブランド認知の継続」でした。

冷凍食品という日常生活に深く根ざす商品だからこそ、「記憶に残る」「思い出される」ことが最大の価値になります。


5. 中期経営計画と施策の整合性

ニチレイの中期経営計画「Compass × Growth 2027」では、「生活者起点の価値創造と成長投資」が明確に掲げられており、次のような数値目標を掲げています。

  • 売上高:8,000億円(2027年度目標)
  • 営業利益:560億円
  • 主力事業:加工食品(冷凍食品)、低温物流、水産など

この中でも冷凍食品は成長の柱とされており、ラジオ提供による生活者接点の維持・拡大は、戦略と整合しています。

また、下記の4つの戦略が中核戦略として定められています。
①生活者との関係性深化(健康・信頼・ブランド)
②国内:チキン加工・米飯などの強化、冷凍物流の収益性向上
③海外:欧州・ASEAN・北米でのインオーガニック成長推進
④グループ統合による調達・販売の最適化

引用元:2025年3月期 通期決算・ニチレイグループ中期経営計画 「Compass×Growth 2027」

中でもブランド接点としての「物流と食」の両面戦略が示されています。

6. 提供施策の効用はどこに現れるのか?

ラジオ提供による直接的な売上効果は見えにくい一方で、次のような間接効果が考えられます。

  • ブランド想起率の維持・向上
  • リスナーとの双方向接点(投稿→体験)
  • SNS・口コミでの話題化
  • 顧客との関係性深化(ファン化)

ニチレイのような“家庭で繰り返し購入される商品”にとって、こうした記憶の定着が大きな価値を持ちます


まとめ

ニチレイが10年以上もオードリーANNの提供を続けてきた背景には、

「目の前の数字ではなく、信頼と接点を積み上げる」という長期的な視点が見え隠れします。

いつもありがとう、俺たちのニチレイ